【先帝陛下の御言葉 「いつも計画と実行とは伴わない。 これでどうして戦争に勝つことが出来るか」】
本土決戦本土決戦と言うけれど、
一番大事な九十九里浜の防備も出来ておらず、
また決戦師団の武装すら不十分にて、
これが充実は九月中旬以降となるという。
飛行機の増産も思うようにはいってない。
いつも計画と実行とは伴わない。
これでどうして戦争に勝つことが出来るか。
もちろん、忠勇なる軍隊の武装解除や戦争責任者の処罰等、
それらの者は忠誠を尽くした人々で、
それを思うと実に忍び難いものがある。
しかし今日は忍び難きを忍ばねばならぬ時と思う。
明治天皇の三国干渉の際の御心持を忍び奉り、
自分は涙をのんで原案に賛成する。
(『木戸幸一日記 下巻』東京大学出版会 ※著者により読みやすい表記としました)